DC開発フォーラム キャリアセミナー2013レポート

ワシントンDC開発フォーラムでは、3月29日(金)にキャリアセミナーを開催しました。パネリストとして下記4名の方々をお迎えし、当フォーラム幹事の高橋孝郎(国際金融公社(IFC)グローバル金融市場局/アソシエイト・インベストメント・オフィサー)がモデレータを務めました。NYなど遠方からの参加者も含め、約60名の学生・社会人の皆さんにお集まりいただきました。昨年も実施したUstream配信においては、世界各地から約30人の視聴があり、ツイッターを通して質問やコメントも頂戴しました。
パネリスト一覧
【世界銀行】 窪田恵子さん(欧州・中央アジア地域総局チーフ・エコノミスト室/上級エコノミスト)
【世界銀行グループ 国際金融公社(IFC)】 吉野伸哉さん(インフラストラクチャー局テレコム・メディア・技術事業部門/投資担当官)
【国際通貨基金(IMF)】 森山賢治さん(戦略政策審査局/上級エコノミスト)
【米州開発銀行(IDB)】 成田哲朗さん(多数国間投資基金(MIF)/投資担当官)
(パネリストの詳しい経歴に関してはこちらに記載があります)
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パネリストの方々には自己紹介の後、次のような質問にお答えいただきました。下記に内容の一部を簡単にまとめます。
1)これまでのキャリアパス、2)エントリーレベルの採用パターン、3)ミッドキャリアの採用パターン、4)それぞれの機関のメリット/デメリット(働いてみた感想)、5)ご自身の今後のキャリアプラン、6)国際機関を目指す方へのアドバイス
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1)経済学のPh.Dやビジネススクールのバックグラウンドを持っていること、学生の間に希望する機関でインターンを経験したことなどが現在のキャリアにつながったとの説明がありました。
2)世銀・IMFでは最低でも修士号を持ち、社会人経験もあると有利であること、YP(Young Professional)やJPA/JPO(Junior Professional Associate/Officer)などの採用プログラムを利用することなどが挙げられました。IFCの採用にもGTT(Global Transaction Team)プログラムがあり、こういった採用プログラムの利用も念頭に置きつつ、インターンの機会などに人脈を築き、仕事ぶりを認めてもらうことがカギとなるようです。
3)基本的に募集状況次第であり、求められている専門性について他の候補者より適性があることで採用が決まるようです。また、ポストがミドル以上になるほど採用プロセスがオープンかつ透明になるため、公平な競争に負けない実力が求められるという説明もありました。
4)どの機関も巨大な官僚組織であること、雇用形態が不安定であることとそれに起因する同僚内の競争、などのマイナス面が挙げられる一方で、民間では不可能なリスクを取ることができること、自分たちが発信者になれる醍醐味、優秀かつ尊敬できる同僚・上司との出会い、などが語られました。
5)さらに上のポジションを目指す(その中でも、幹部職に進むか、現場に近い事務所に行くか)、あるいは関連する研究所やNGOなどクライアントに近い場所で働く、自ら新しいビジネスを始める、などの可能性が示されました。
6)20~30年先に何が大きなイシューとなるか予想しつつ、自身が好きで持続できることの中から専門分野を固める、というアドバイスが印象的でした。語学については、英語は最低条件、その他にスペイン語(IDBでは必須)、アラビア語、フランス語などができれば大いに役立つ一方、専門性が確立していれば英語のみで問題ないとのことです。DC所在の国際機関を目指す場合、近辺の大学院への留学がインターンの機会を得たり情報収集をする上でアドバンテージとなる、という体験に基づいたアドバイスもありました。
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最後に、各パネリストによる機関毎の分科会が行われ、活発な質疑応答が行われました。セミナー終了後の懇親会には様々な採用形態で働いている世界銀行の若手職員も加わりました。懇親会後は、更に15名ほどで食事にいき、更なる情報交換・ネットワーキングを行いました。
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国際機関での就職は、どうしてもそこで働きたいという強い信念と努力だけではなく、運や巡りあわせが大きく影響します。パネリストからは、国際機関だけにこだわることなく「プランB」を用意するぐらいの余裕を持ってほしい、とのコメントもありました。今回のキャリアセミナーをきっかけに、参加された皆様の中から、少しでも多く将来の国際機関職員が生まれることを祈りつつ、当フォーラムは今後もこういった機会を提供し続けていきたいと考えております。
ご来場の皆様、ならびにUstream中継を視聴してくださった皆様、誠にありがとうございました。